特集=ファミマのチョコミント

ファミマのチョコミントとは何だったのか。もうそれが終わってからずいぶん経ってしまったが、書いておこうと思う。

ちなみになぜファミマなのかというと、よく行く場所の近くにあったからだ。それだけだ。他のコンビニ、あるいはその他の店舗でもチョコミントキャンペーンがやっていたと思うが、まあそれはそれだ。

ファミマのチョコミントについて考えるためには、まずチョコミントについて思いを巡らしてみなければならないだろう。ここで目次をどうぞ。

それでは、チョコミントについて考えよう。

1.チョコミントに関する問い

問 チョコミントは真っ当な食いもんであるか。

 

この問いについては次のように進められる。チョコミントは真っ当な食いもんではないと思われる。そのわけは、

 

一、チョコミントは歯磨きであると言われる。歯磨き粉は食いもんではない。したがって、チョコミントも食いもんではない。

二、チョコとミントは、それぞれ別に食べるならいいけど、同時に食べると、チョコの甘さとミントの清涼感がマッチしていない。したがってチョコミントは真っ当な食いもんではない。

 

しかし反対に、チョコミントは歯磨き粉であるからこそ、うまい、とも言われる。

 

解答する。次のように言われるべきである。

 

チョコミントは真っ当な食いもんである。チョコミントとは、清涼感のあるミントの「軽さ」が、甘いチョコレートの「重さ」に裏打ちされて生じる調和と対比を賞味すべきジャンルである。チョコとミントはたいてい、異なる媒材によって表現される。たとえば、滑らかな食感のミントアイスクリームの中に、パリパリとした歯ごたえを持つチョコチップが散らされる、というようにである。異なる味の対比、異なる食感の対比は、料理や菓子全般において、よく用いられる手法である。ストロベリーとチョコの味を持つアポロや、外はこんがり焼けていて、なかはふわっとしているパンなどを考えてみればよい。チョコミントもそのような対比の冒険の一つである。

 

それゆえ、一 については言われなければならない。チョコミントは歯磨き粉ではない。チョコミントはチョコとミントの組み合わせをその本質的な特徴とするのであって、メントールだけではチョコミントではない。もしチョコミントを賞味してメントールしか感じることができないのなら、それは、そのチョコミントの出来が良くないか、さもなくば、味覚の繊細さが欠けているのである。

 

二 については言われなければならない。チョコとミントを組み合わせてみることは、何ら異常な組み合わせではない。それらはどちらも甘味であり、言ってみれば、ピザにパイナップルを乗せることよりもずっと穏当な組み合わせである。しかし、その組み合わせ、ハワイアンピザでさえ、多くの支持者を持つ確立された料理であることを忘れてはならない。一方で、味覚については争えない、とも言われる。何人も、好まぬ組み合わせを賞味する義務はない。しかし、好みであるとないとに関わらず、チョコとミントの組み合わせに巧拙が存在することも事実である。適格な判断能力を持つ主体であれば、自身の好みとは別に、チョコとミントの見事な組み合わせと拙劣な組み合わせを区別することができるだろうと、私は思う。つまり、これは全く私の好みではないが、このようにチョコとミントを組み合わせたことは適切である、というように。Wikipedia上の信頼できるかよくわからない情報によると、ハワイアンピザの組み合わせは、中華料理にヒントを得て生み出されたものだという。もしそうであるなら、ハワイアンピザの好き嫌いには、中華料理への慣れが関係しているのかもしれない。中華料理を食べたことがなければ、目の前の中華料理の一皿の良し悪しを判定することが難しいように、チョコミントを食べたことがなければ、その良し悪しを判定することはできないだろう。ビールが最初はまずくても、飲み慣れれば多少おいしく感じるようになるのに似ていて、ハワイアンピザにも、チョコミントにも、習熟が必要な場合がある。

 

2.ファミマのチョコミントランキング

以上で示された基準を念頭におきつつ、ファミマのチョコミント製品を評定してみよう。評価を数字で表すことは難しいが、暫定的にそうしてみた。菓子としての評価とチョコミントとしての評価を分けているのは、チョコミントとしてはおいしいが菓子として見れば工夫を欠いているものや、チョコミントらしさはあまりなくても菓子としては優れていると言えるものがあるからである。先に述べておけば、やはりチョコミント好きに訴えようということだけあって、菓子のチョコミント部分自体はよくできていて、うまいというものは多かった。そのため、チョコミントとしての評価が低いものがあまりなくなってしまった。一方で、単にチョコミントを安直に他の形式と組み合わせてみたというものも多く、そうしたものについては、菓子としてはやはり優れていないという評価を下すことになった。

 

ただ、一通り評点をつけてみると、そもそも自分の設置した評価基準、採点方法への疑問も生じてきた。あるいは、一つのランキングにまとめることに無理があったかもしれない。こうした点については今後考えていきたい。

 

なお、評価の対象となったのは全13商品である。写真とかはないから、以下のページを参照してほしい。

www.family.co.jp

一部、私が見かけなかったなどの理由で選外になっているものがある。

それでは。

 

第13位

チョコミントドリンク

12点。

チョコミント風の乳飲料だという。確かにさわやかさはあるが、思ったよりチョコより。まあ、こういう乳飲料あるよね。ミント感もあまりなく、新しさもなく、ココア的なものとしてもやや謎のよりの味で……。

菓子としての完成度:6

チョコミントとしての完成度:6

 

第11位

とろけるチョコミントクッキー

13点。

食べてみると、確かに普通のクッキーとはちがい、(タイトル通り)とろけるというか、ほくほくしているというか、独特の食感がする。とろけるクッキーというか、どこかつかみどころのない変わった素材だ。その軽さは確かにチョコミント向きではあるが、味のコクはもう一声ほしいところだし、やはり食感としても一様だ。チョコの存在感もやや薄い。「チョコミント味のかたまり」であることは間違いないのだが、少しパンチを欠く上に、そのクッキー生地もやや怪しげというか謎な感じがする。

菓子としての完成度:6

チョコミントとしての完成度:7

 

チョコミントサンド

13点。

まあ確かにフルーツサンドがあるのだからチョコミントサンドもあってよかろうということなのだろうが、やや血迷った感もある。たっぷりのチョコミントホイップは確かにうまいのだが、パン生地とのマッチが何もない。パン生地はごく標準的なもので、特筆すべき点は何もない。パン生地のわずかな酸味は、ふつう何も問題がないが、チョコミントホイップとはわずかながら不調和をきたしていたのではないか。とりあえずチョコミント挟んどけばいいだろうではなく、パンの方にも工夫を凝らしてほしかった。ココア生地にするとか。

菓子としての完成度:6

チョコミントとしての完成度:7

 

第10位

チョコミントロールケーキ

14点。

ミントブルーのうずまき。ミントの香味は強く、クリームの量は少ないもののチョコチップがきちんと入っている。もったりしたケーキ生地も悪くはないが、少しうまみに欠ける。全体的に、決め手に欠ける。

菓子としての完成度:7

チョコミントとしての完成度:7

 

第6位

チョコミントフラッペ

15点。

かなりまろやかで、コーヒーマシーン的なものでわざわざ別にフラッペを注ぐだけのかいはある。注いだ直後も溶けずに少し固まっているので、かき混ぜるとよい。それなりに濃厚なミルクとミントを楽しめ、チョコチップが食感にアクセントを添えるが、なにぶん一様な液体なので、最初から最後までずっと同じで、変化に欠けるところはある。

菓子としての完成度:7

チョコミントとしての完成度:8

食べる牧場チョコミント

15点。

まず上のミルクアイスを食べると、いかにも「牧場」を称しているにふさわしい濃厚な味わいが広がる。その下ではごろごろとしたチョコクッキーがテクスチャにアクセントを添え、その先にオーソドックスではあるがさわやかなチョコミントアイスが待っている。どちらのアイスもよくできているし、クッキー層を含めて三層になっている。しかし問題は、ミルクアイスとチョコミントの相性が、悪くはないがよくもないということだ。気分としては、うまいアイスを別々に食べているという感じ。どちらも悪くないが、シナジーは特に生じていない。部分部分としてはわるくない、というかいいぐらいなのだが、一つの菓子としてまとまっているとは言えないかも。

菓子としての完成度:7

チョコミントとしての完成度:8

ぎっしり満足!チョコミント

15点。

基本形。可もなく不可もなく。しいて言えば、元からチョコミントがすごい好き、というわけではない人には単調でやや多すぎるかも。

菓子としての完成度:7

チョコミントとしての完成度:8

 

チョコミントメロンパン

15点。

チョコチップメロンパンとかメロンのメロンパンがあるのだからチョコミントメロンパンもあっていいだろうと言わんばかりの商品(?)。こうしてみると、メロンパンというのは意外と応用可能性のあるフレームなのだな。ビスケット生地やクリームはよくできているが、メロンパンにつきものの無地の白いパン生地がやや合っていないような気がしなくもない。でもうまい。

菓子としての完成度:8

チョコミントとしての完成度:7

 

第3位

カントリーマアムミニ チョコっとミント

16点。

定番の菓子のチョコミントヴァージョン。カントリーマアムにはいろんなヴァリエーションがあり、アレンジも手慣れたものか。カントリーマアムのしっとりとした食感が意外とチョコミントに合い、爽やかさを裏打ちしている。うまい。

菓子としての完成度:8

チョコミントとしての完成度:8

チョコたっぷりチョコミント蒸しケーキ

16点。

単純な構造ではあるのだが、生地の隅々までミントがしみわたっているかのような味わい。チョコもたっぷり配合。蒸しケーキの生地が存外ミントに合うということなのだろう。

菓子としての完成度:8

チョコミントとしての完成度:8

 

チョコミントタルト

16点。

去年よりミント感とチョコ感をアップしたらしい。普通より大きなチョコチップがごろごろと転がっているのが楽しい。全体的にしっとりもったりした食感ではあり、ほろほろとして少し食べにくくはあるが、おもしろいヴァリエーションだと思う。

菓子としての完成度:8

チョコミントとしての完成度:8

1位

ワッフルコーンチョコミント

17点。

まず見た目がいい。そしてうまい。チョコミントだけでなくチョコソースもかけられたソフトクリーム部は、見た目に鮮やかだし、チョコもチップの存在感だけでなくソースの味わいとしても主張してくる。もちろんミントの爽やかさもある。食べ進めていくとチョコのワッフルコーンに到達し、また違った食感が楽しめる。コーンをばりばり食っていく間もミントの清涼感がきちんとある。革新的な工夫などがあるわけではなく、安牌をとった組み合わせではあると思うが、チョコミントアイスというものに期待される諸要素をきちんと実現していると思う。

菓子としての完成度:8

チョコミントとしての完成度:9

チョコミントシュー

17点。

チョコでコーティングされた薄皮のなかに、チョコミントクリームがもったりと詰まっている。シューの外側にはミントブルーの装飾も施されており、ただのチョコシューではないという主張にも余念がない。シュークリームは、薄くて軽い皮と重く甘いクリームの対比が面白いジャンルだと思うが、それをチョコミントでやってみるとこうなるのか、という感じ。素材のダイナミックな対比が、チョコミントの味わいを一層かきたてる。結構おもしろい組み合わせ。

菓子としての完成度:9

チョコミントとしての完成度:8

おわりに

以上である。みんなもチョコミント食べてあれこれ言おうぜ。